【通勤中・業務中の交通事故】労災申請に勤務先非協力でもOK!療養・休業・障害給付の全申請手続きと必要書類を解説

はじめに:交通事故でも労災保険が適用されるケース

交通事故に遭われた皆さま、心よりお見舞い申し上げます。

交通事故では自動車保険(自賠責保険や任意保険)がまず頭に浮かびますが、事故が「業務遂行中」または「通勤・退勤中」に発生した場合、「労災保険」の給付を申請することができます。

勤務先が非協力でも、ご自身で申請可能です!

「勤務先に労災申請を拒否された」「会社が手続きに非協力的だ」という状況でも、給付の申請を諦める必要はありません。

労災保険の給付請求権は労働者本人(被災者)にあります。事業主の証明がなくても、被災者本人が労働基準監督署に書類を提出すれば、申請は可能です。監督署が職権で事実関係の調査を行うため、ご安心ください。

労災給付の申請書類の種類:業務災害と通勤災害の違い

労災保険の給付は、「業務災害」(業務上の負傷など)と「通勤災害」(通勤途中の負傷など)に大別され、給付の種類は同じでも請求書の様式番号が異なります。

💡 様式ダウンロード

請求書・申請書は、厚生労働省の以下のページからダウンロードできます。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousaihoken.html

給付の種類 業務災害(業務中)の様式 通勤災害(通勤中)の様式
療養給付(治療費) 療養補償給付請求書(様式第5号・第7号) 療養給付請求書(様式第16号の3・第16号の5)
休業給付(所得補償) 休業補償給付支給申請書(様式第8号) 休業給付支給申請書(様式第16号の6)
障害給付(後遺症) 障害補償給付支給申請書(様式第10号) 障害給付支給申請書(様式第16号の7)

【重要】 請求書を作成する際は、ご自身の被災状況が「業務災害」または「通勤災害」のどちらに該当するか確認し、正しい様式番号の書類を使用してください。

勤務先への確認が必要な主な記入・証明事項

労災請求書類には、被災者ご自身で記入できない、または勤務先(事業主)の記入・証明が必要な箇所があります。

給付の種類 確認・記入が必要な主な事項
全般 事業の名称、所在地、事業の種類、事業主氏名、労働保険番号など
療養給付 災害発生の事実(業務中/通勤中)に関する事業主の証明
休業給付 平均賃金算定の基礎となる賃金情報(事故前3か月の賃金総額など) 休業期間中の賃金支払い状況(賃金の支払いがないことの証明)

勤務先が協力的な場合はこれらの内容を確認し、証明を依頼してください。非協力的な場合は、ご自身で把握できる範囲で記入し、不足分は労働基準監督署の指示を仰いで提出してください。

各給付の申請書類とポイント

①療養給付:治療費の申請

労災による怪我や病気の治療にかかる費用を給付するものです。

🔗 療養給付の様式ダウンロード

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousaihoken.html

申請ケース 使用様式とポイント
指定医療機関で治療(立替なし) 様式第5号(業務)または第16号の3(通勤)を病院に提出。
費用を立替払い 様式第7号(業務)または第16号の5(通勤)を使用し、領収書の原本を添付して監督署に提出。

②休業給付:休業中の所得補償の申請

療養のため労働できず、賃金を受けていない日について、所得を補償するものです(給付基礎日額の80%)。

🔗 休業給付の様式ダウンロード

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousaihoken.html

  • 申請書類: 休業補償給付支給申請書(様式第8号)または休業給付支給申請書(様式第16号の6)
  • 作成と添付のポイント:
    • 医師による「労働不能であったこと」の証明が必要です。
    • 平均賃金内訳の作成が必要であり、賃金算定のため以下の資料の添付が求められます。
      • 事故前3か月間の賃金台帳・給与明細の写し
      • 出勤簿またはタイムカードの写し(勤務先非協力の場合は、ご自身で所持する資料を提出)

③障害給付:後遺症に対する給付の申請

傷病が治癒(症状固定)した後も身体に障害が残った場合に、障害の程度に応じて支給されるものです。

🔗 障害給付の様式ダウンロード

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousaihoken.html

  • 申請書類: 障害補償給付支給申請書(様式第10号)または障害給付支給申請書(様式第16号の7)及び通勤災害に関する事項(第16号の7(別紙))
  • 申請と添付の重要ポイント:
    • 医師による適切な診断書の添付が必須です。この診断書の内容が後遺障害の等級認定に直結します。
    • 障害の状態を客観的に裏付ける資料として、CT、MRI、レントゲンなどの画像データの提出も必要となります。

④第三者行為災害届など

労災が第三者(加害者)の行為によって生じた場合(第三者行為災害)は、通常の給付請求書に加え、以下の書類を最初の請求時に併せて提出する必要があります。

  1. 第三者行為災害届
  2. 念書(労災給付を受けた場合、将来加害者から賠償を受けた金額を限度として政府に返還することを約束する書類)
  3. 交通事故証明書(自動車安全運転センター発行の原本、または取得した者の氏名と原本に相違ない旨の記載がある写しでも可能

🔗第三者行為災害届・念書の様式ダウンロード

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousaihoken.html

おわりに:加害者への損害賠償請求と弁護士の役割

労災保険で給付を受けたとしても、慰謝料や逸失利益など、労災保険ではカバーされない損害が残ります。これらの損害については、加害者または加害者が加入する任意保険会社に対して請求することになります。

  • 特に、後遺障害の等級認定の結果は、加害者側への請求額に大きく影響します。
  • 適切な等級認定の獲得支援や、加害者との複雑な示談交渉は、法律の専門家である弁護士にご相談いただくことが最も確実です。

当法律事務所では、交通事故に遭われた方の労災手続きや、後遺障害認定についてもサポートしております。お気軽にご相談ください。

 

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