二度目の交通事故に遭ってしまった場合の損害賠償の範囲について

被害者が交通事故に遭ってから症状固定に至るまでの間に、2回目の交通事故に遭い、且つ双方の事故で同一部位を損傷した場合、それぞれの加害者に対し、どのような損害賠償が認められるかが問題となり得ます。

どうして問題になるかというと、各加害者が第二事故以降に発生した損害の一部について賠償を認めない可能性があるためです。すなわち、第一事故の加害者は、第二事故は第一事故とは無関係であると主張し、第二事故の加害者は、第一事故に影響を受けた損害は第二事故とは無関係であると主張するのです。

交通事故に精通していない被害者からすると、誰に、どの範囲で、賠償を求めたらよいのか混乱してしまうと思います。

このようなケースではどのように損害の範囲を決めて示談に挑めばよいのか、第二事故に遭った際の注意点についてお伝えします。

各加害者の損害の範囲について

⑴ 第一事故発生から第二事故発生までの間に具体化した損害については、第一事故に起因することが明らかな為、第一事故の加害者へ賠償を求めることになります。この点はあまり問題にならないかと思います。

⑵ 一方、第二事故以降に具体化した損害については、どの範囲でそれぞれの加害者に責任があるのか、下記の通り意見が分かれております。

①異時共同不法行為として扱い、第一事故と第二事故の損害を双方の加害者が連帯して責任を負うという考え方

②双方の加害者がそれぞれの事故により被害者に与えた被害の影響の寄与度に応じて責任を負うという考え方

異時共同不法行為として扱い、双方の加害者が連帯して責任を負うという考え方

異時共同不法行為とは、別の時に別の場所で発生した二つの事故により、一つの結果が生じたことを指します。

異時共同不法行為が認められる効果としては、第二事故以降に具体化した損害が、どちらの事故の影響で生じた損害であるかを区別することが困難であるため、第二事故以降に具体化した損害につき、第一事故及び第二事故の両方の加害者が連帯責任を負います。

例えば、第二事故以降に具体化した損害が100万円の場合、双方の加害者に対して100万円の請求が可能です。

ただし、直近の判例では、どちらの事故の影響で生じた損害であるかを区別できないとまでは言い切れないということで、異時共同不法行為を認める例はほとんどなく、⑵の寄与度に応じて賠償請求をするという考え方で処理をすることがほとんどです。

双方の加害者が寄与度に応じて責任を負うという考え方

寄与度とは、各加害者が与えた損害の影響の割合のことを言います。

この寄与度については、被害者側が主張立証する必要があります。そのため、被害者が通院している全医療機関からカルテなどを取り寄せし、それぞれの事故の衝突・損傷の程度、治療経過、第二事故発生前と発生直後の症状などを考慮し、各加害者の負担割合を検討することになります。これは専門的な知見が必要で、非常に判断が難しい問題です。

多数の裁判例では、第二事故以降に具体化した損害について、第一事故加害者が何%、第二事故加害者が何%を賠償すべきという判断をしています。

注意!治療終了前に第二事故が発生した場合、第一事故の示談はしないこと

第二事故の発生後すぐに、第一事故の加害者が示談を求めてくる場合があるので、注意が必要です。第一事故の加害者は、第二事故以降に具体化した損害については一切考慮せずに示談をしてくるケースがほとんどだからです。一度示談書の取り交わしをしてしまうと、その後改めて交渉をすることができなくなります。

また、第二事故の加害者は、第二事故以降に具体化した損害の一部は第一事故加害者にも責任があると主張し、請求の一部を認めないことがあります。この場合、満足のいく賠償金を得られない可能性があります。

よって、第一事故と第二事故の示談交渉は、治療が終わってから同時に行うべきです。

まとめ

第一事故発生後、治療が終わる前に第二事故が発生し、同一部位を損傷したケースは、責任の範囲について各加害者との話し合いでは決まらず、裁判で決めることが多い事案となります。

各加害者の寄与度については、被害者側が主張立証する必要があり、非常に難解な手続きとなります。

正当な賠償金を獲得するために、第二事故が発生した段階で弁護士へ相談することをお勧めします。

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