交通事故における休車損害とは?営業停止による経済的な影響を解説
はじめに
交通事故によりうける被害は、車両の損傷や怪我だけでなく、営業活動にも大きな影響を与えることがあります。特に、営業用車両が破損し修理や買い替えが必要な場合、営業停止に伴う経済的な損失が生じることがあります。このような損失を「休車損害」と呼びます。今回は、交通事故における休車損害について、具体的な影響や計算方法について解説していきます。
休車損害の定義と要件
定義
休車損害とは、営業用車両が交通事故などで破損し、修理・買い替えによって営業が一時的に停止されることにより生じる損害のことを指します。営業を継続していた場合に得られたであろう利益の喪失が含まれます。
3つの要件
被害車両の使用の必要性
休車損害が成立するためには、事故車両が営業活動に使用される必要性があります。事故によって車両が破損し、修理や交換が必要となり、その結果、営業が一時的に停止する状況が生じた場合に該当します。
代車の入手困難性
休車損害が認められるためには、代車の入手が容易ではないことが要件となります。代車を手配するためには、時間や費用がかかり、実際には代車を利用することが困難な状況である必要があります。ただし、代車を借りても事故前の営業収入を満たさない場合、代車使用料とともに休車損害も認められる可能性はあります。
遊休車(代替車両)の不在
休車損害の要件の一つとして、遊休車(代替車両)が存在しないことが挙げられます。つまり、事故によって営業車両が利用できなくなった場合に、他の代替車両で営業を継続することができる遊休車が利用できる状況でないことが求められます。
これらの要件が満たされた場合に、休車損害が認められる可能性があります。
代車の入手が困難なケース例
- 営業車両の場合
タクシーや路線バス、営業トラックなどの緑ナンバーの営業車両の場合、運送業許可を受けておりレンタカーなどの代車を利用することは困難です。
- 特殊な車両の場合
特定の車両や装備が必要な業務に関連する車両の場合、代車を手配することが難しいことがあります。例えば、大型トラックや建設機械、競技用のスポーツカーなどは、一般的な代車サービスでは提供されにくい場合があります。
交通事故によって営業車が使えなくなるとどうなる?
まず、営業活動の停止による収益の減少が挙げられます。営業用車両が修理や買い替えのために利用できない期間中は、通常の収益を得ることができません。このため、売上や利益が減少し、企業の財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、営業停止期間中には顧客の喪失が起こることも考えられます。顧客は代替サービスを求めるか、競合他社に流れる可能性があります。営業再開後でも、顧客を取り戻すためには信頼を取り戻す努力が必要です。顧客の喪失は、将来の売上や収益にも影響を及ぼすことがあります。
さらに、休車損害は企業のイメージや信頼性にも影響を与える場合があります。交通事故による営業停止は、顧客や一般の人々に対して企業の信頼性やサービス品質に対する不安を抱かせる可能性があります。これによって、企業のイメージやブランド価値が低下し、競争力の減退に繋がることがあります。
最後に、従業員への影響も考慮しなければなりません。営業停止によって従業員の業務が一時的に停止したり、業務内容が変更されたりする場合があります。また、営業再開後には従業員の配置や再教育が必要となることもあります。
休車損害の算定方法
営業収入の算定
通常の営業活動で1日あたりに得られる営業収入を算定します。これは、事故車両を使用して営業活動を行っていた場合に得られるであろう利益を基準とします。
原則として、事故前2~3カ月の売り上げ平均から経費の一部を控除した金額になります。
休車期間の算定
事故による休車期間(日数)を算定します。具体的な休車期間は、事故車両の修理や代替車両の手配にかかる時間などを考慮して決定されます。
休車損の算定
営業収入の1日あたりの金額に休車期間(日数)を掛けることによって、休車損の金額が算定されます。例えば、営業収入が1日あたり10,000円で休車期間が10日間だった場合、休車損害は10,000円 × 10日 = 100,000円となります。
まとめ
交通事故による営業用車両の損害は、営業収入の減少だけでなく、今後の運営に深刻な影響を及ぼすことがあります。よって、迅速かつ適切な対応が求められます。
休車損害の賠償請求手続きは、事案ごとに複雑な判断が必要になり、請求を認めてもらうための書類の収集が非常に重要になります。休車損害を立証するために必要な書類を選択するのは、非常に難しいです。
また、複雑な損害内容になるため、相手方の保険会社が支払いに応じようとしないのが一般的です。保険会社は、休車損害についてはそもそも支払う気がないことが通常で、被害者が諦めるのを待つ傾向にあります。そのため、早期に弁護士に相談することをおすすめします。
休車損害に関する問題を抱えた際には、ぜひ弁護士に相談してみてください。