図解解説】腎臓の後遺障害等級認定基準を弁護士が解説!片腎摘出・GFRの正しい診断書記載で適正な補償を
目次
図解解説】腎臓の後遺障害等級認定基準を専門弁護士が解説!片腎摘出・GFRの正しい診断書記載で適正な補償を
腎臓損傷の重大性と正しい等級認定の必要性
腎臓は、血液のろ過、老廃物の排出、血圧の調整など、生命維持に不可欠な役割を担っています。
交通事故による腎臓の損傷、特に片腎摘出(亡失)や機能障害は、生涯にわたり健康上のリスク(慢性腎臓病、透析導入など)を背負うことにつながる極めて重大な傷害です。
この重大な影響に対し、被害者が受け取るべき損害賠償額(慰謝料と逸失利益)は、後遺障害等級認定の成否と、どの等級(1級から14級)に認定されるかによって決まります。
もし適切な等級が認定されなければ、被害者は本来受け取るべき数百万~数千万円もの補償を失いかねません。
腎臓の後遺障害認定基準は非常に専門性が高く、単に「診断書を提出する」だけでは正しい等級を獲得することは困難です。
適正な補償の獲得のためには、専門知識を持つ弁護士のサポートが不可欠なのです。
腎臓の後遺障害認定の基本知識
後遺障害認定手続きは、治療を続けても症状の改善が見込めない状態、すなわち「症状固定」と診断されてから始まります。
腎臓の後遺障害は、主に以下の二つの側面で評価されます。
- 機能障害: 腎臓のろ過機能(排出能力)がどの程度低下したか。
- 形態(欠損)障害: 片腎摘出(亡失)など、腎臓の一部または全体を失ったか。
これらの評価の核心となるのが、次章で解説するGFRという数値です。
後遺障害の申請方法には「事前認定」と「被害者請求」がありますが、腎臓の後遺障害のように医学的資料が重要な場合は「被害者請求」が有利です。
詳細は自賠責保険とは?任意保険との違いや被害者請求のメリットについて解説をご覧ください。
GFR(糸球体濾過値)に基づく等級認定基準
GFR/eGFRの解説:なぜ数値が認定の決め手となるのか
GFR(糸球体濾過値: Glomerular Filtration Rate)は、腎臓が1分間にどのくらいの血液をろ過し、老廃物を尿として排出できるかを示す指標であり、腎機能の正確な評価に欠かせません。
診断書に記載されることが多いeGFR(推算糸球体濾過値)は、血液検査のクレアチニン値などから計算で推し量る値ですが、後遺障害認定においては、体表面積未補正のGFR(mℓ/分)が求められ、この具体的な数値が等級認定の決め手となります。
近年、腎臓の後遺障害は、このGFRの値に基づき、その低下の程度によって等級が細分化されるようになりました。この認定基準の詳細については、国土交通省:自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準でもご確認いただけます。
腎臓の後遺障害等級認定基準(GFRに基づく)
腎臓の後遺障害等級は、一側の腎臓を亡失(失った)しているか否か、および残存する腎機能のGFR値によって、以下のように厳格に定められています。
- 「片腎摘出(亡失) 交通事故」のケースでは、例え残存している片方の腎臓の機能がほぼ正常(GFRが90を超える)であったとしても、腎臓を一つ失ったという事実そのものに対する補償として、最低でも13級11号が認定されます。これは、将来的な腎機能低下リスクを考慮した重要な基準です。
重度機能障害(透析・腎移植)と1級~4級の基準
GFRの低下が重度な場合、より上位の等級が認定されます。
第4級・第3級の認定基準
- 第4級3号:eGFRが20未満で、かつ身体の活動に著しい制限が生じている状態。
- 第3級5号:eGFRが10未満で、かつ全身の活動に極めて著しい制限が生じている状態。
これらの等級は、生活の質(QOL)が著しく損なわれ、透析導入が目前に迫るなど、極めて深刻な状態を示します。
第1級(特例):腎移植を行った場合
腎臓の機能が完全に廃絶し、人工透析が必要になった場合は第2級4号に該当します。人工透析の治療費は高額ですが、厚生労働省の特定疾病療養受療制度の対象となることが一般的です。
さらに、透析を回避するために腎移植を行った場合、以下の特例が適用されます。
- 第1級3号(特例):腎移植を行った場合は、仮に移植後の腎機能が一時的に安定したとしても、拒絶反応や感染症のリスクを伴う**抗免疫療法(免疫抑制剤の継続投与)**が必要である限り、機能が再び廃絶するリスクを考慮し、第1級として認定されます。これは、被害者の負担と生涯にわたるリスクに対する最大限の配慮です。
等級認定を成功させるための診断書作成のポイント
腎臓 後遺障害 等級 認定基準をクリアし、成功させる鍵は、「GFR/eGFR」の数値を、認定機関が求める形式で診断書に正確に記載してもらうことに尽きます。
主治医への依頼事項
認定に必須となるのは、「体表面積未補正のGFR(mℓ/分)」の算出と記載です。一般の診療で用いられるeGFR(体表面積補正済み)だけでは、等級認定に必要な客観的証拠として認められない場合があります。
必ず主治医に対し、以下の点を具体的に依頼してください。
- 後遺障害認定のため、「体表面積未補正のGFR(mℓ/分)」の算出と診断書への記載を求めること。
- GFRの数値は、小数点以下を切り上げるという認定上のルールがあるため、その旨を医師に伝え、有利な記載をしてもらうこと。(例:GFR 9級11号)
このGFRの数値を巡る細かな認定ルールは、一般の方にはまず知られていません。
専門的な知識がないまま申請すると、本来獲得できたはずの等級を逃してしまうリスクが非常に高いのです。
また、医師への具体的な依頼方法や診断書作成の注意点については、後遺障害等級認定の流れと申請におけるポイントで詳細に解説しています。
弁護士に相談すべき理由:適正な補償の獲得
逸失利益の重要性:生涯にわたる補償
腎臓の欠損や機能障害は、ムチウチや骨折などの比較的軽微な傷害とは異なり、その影響が生涯にわたって継続する可能性が高いと評価されます。
- このため、逸失利益(将来得られたはずの収入の補償)を計算する際の労働能力喪失期間が、原則として制限されない(終身とされる)可能性が高まります。
- 例えば、片腎摘出で認定される13級の場合、労働能力喪失率は9%です。この9%という数字は、生涯にわたる補償額に大きく影響します。
- しかし、保険会社はしばしば、この労働能力喪失期間を短く見積もったり、喪失率を不当に低く評価したりします。適正な計算と主張には、交通事故専門の弁護士の知識が不可欠です。
慰謝料の増額:裁判基準(弁護士基準)との大きな差
保険会社が最初に提示してくる賠償額(任意保険基準)は、弁護士が交渉することで得られる裁判基準(弁護士基準)と比較して、極めて低く抑えられていることがほとんどです。
特に、腎臓の後遺障害のような重篤なケースでは、その慰謝料の差額は数百万円以上になることが珍しくありません。
弁護士を介入させるだけで、この適正な裁判基準に基づいた交渉が可能となり、あなたが本来受け取るべき補償額を大きく引き上げることができます。をご覧ください。慰謝料増額の具体的な仕組みについては、入通院慰謝料は自賠責基準と裁判所基準でどれくらい違う?入通院慰謝料の計算式をご覧ください。また、日本弁護士連合会:交通事故相談センターでも専門家への相談が可能です。
まとめ
腎臓の後遺障害等級認定は、GFR/eGFRという医学的な専門指標の理解と、それを後遺障害認定のルールに照らして正確に証明する法的な知識の両方が求められる、非常に難易度の高い手続きです。
不安を抱えながら、ご自身だけでこの複雑な手続きを進める必要はありません。
私たちは、交通事故案件を専門とし、腎臓の後遺障害認定に関する医学的・法的知識を深く有しています。適切な等級の獲得、そして生涯にわたる適正な補償の獲得へ向けて、最初の一歩を踏み出しましょう。
まずはお気軽にご相談ください。
交通事故でお悩みですか?まずは弁護士にご相談ください
当事務所では、腎臓等の臓器の後遺障害に関するご相談を無料で承っております。
経験豊富な弁護士が、被害者様の不安に寄り添い、適正な賠償金獲得に向けて全力でサポートいたします。





