コーティング費用は全額の請求ができない場合があります

コーティング費用は加害者に請求できるのか

交通事故で車両が損傷し、分損と判断された場合、被害者は修理費用を加害者に請求することができます。その際、加害者が負担するべき費用の範囲にはコーティング費用も含まれるかどうかが疑問になります。今回は、交通事故におけるコーティング費用の請求範囲について解説します。

コーティングとは

まず、車両の(ボディ)コーティングとは、車両表面にコーティング剤を塗布し、傷や汚れ等自動車の外装を保護するために行われる処理のことです。コーティングを行うことで汚れづらくなったり、紫外線等による塗装の変色・劣化を防ぐことができ、途切れることなく美しい外観を維持することができます。主な種類には、フッ素樹脂コーティング、ガラスコーティング、シリコンコーティング等があります。

コーティング費用の請求はできるのか

交通事故前にコーティングを行った場合、そのコーティング費用は修理費用に含めて請求できる場合があります。

コーティングにかかる損害については被害者側が立証する必要があります。

具体的には、ボディコーティングの保証期間内であって、ボディコーティングを行い、かつ、その期間内であることを保証書等で立証する必要があります。

コーティング費用の請求の範囲

請求の範囲については、修理により、ボディコーティングをやり直さなければならなくなった範囲、すなわち、当該事故によって、修理しなければならなくなった箇所に応じたボディコーティング費用が補償の対象となります(コーティング費用のうち、半分を認めた判例。名古屋地判令和元年9月27日、大阪地判平成25年10月29日)。

コーティング費用の問題点

コーティング費用について、被害者と加害者で最も争いになる点は、コーティング費用の請求範囲です。既に説明したとおり、コーティング費用は、原則として、修理を行う対象範囲に限って認められます。

一方で、コーティングを業者に依頼する場合、特定の個所(例えばバンパー部分のみ、サイド部分のみ等)という発注は受け付けていない業者が大半です。

この場合に、改めて車両全体に対してコーティングを行ったとしても、その費用全額を認めない保険会社がほとんどです。なぜならば、車両全体のコーティング費用請求を認めてしまうと、損傷を受けた個所以外のコーティングを受けられることになり、被害者に不当な利益を認めてしまうことになるためです。

もっとも、事故直前にコーティングを受けた場合には車両全体にコーティングを受けたとしても、「不当に」被害者が利益を得たとは言えず、車両全体のコーティング費用が認められる可能性もあります(3か月後の事故発生で、左後部の修理が必要な場合の事案置いて、全額のコーティングを認めた事例。東京地判平成30年9月26日)。

まとめ

以上のように、交通事故においてコーティング費用を請求する場合、その範囲は被害者が被った損害の状況や、コーティングがいつの時点で施されているか、コーティングによる保証期間内であるのか、その証拠が存在するかによって異なります。

コーティング費用については、相手保険会社と紛争になることが多いため、専門家である弁護士に相談することをお勧め致します。ぜひ、弊所の15分の電話無料相談を活用してください。

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