交通事故事件で弁護士を選ぶ方法

交通事故に遭った時、交通事故で保険会社と揉めた時などに、知り合いの弁護士がいない方々は、どのような弁護士に依頼すればいいのだろうとお悩みになることがあるかと思います。

弁護士業界は、かつては、事件内容で弁護士を依頼するのではなく、知っている弁護士、知り合いの「つて」で紹介された弁護士を依頼することが多かったようです。弁護士側も「どのような種類の事件でも受ける」というスタンスの弁護士が多かったのではないかと思います。

最近は、弁護士業界も、事件ごとの専門化が進み、離婚、労働、債務整理、交通事故等と一定の事件に特化した弁護士事務所が大変増えたと思います。かくいう私も、業務のほとんどが交通事故案件です。

現在は、一定の分野に特化した弁護士事務所が増えたため、特化した弁護士事務所の中で、更にどの事務所を選ばれるかという差別化も始まっています。交通事故分野でも、数年前までは、交通事故に特化している弁護士は多くなかったのですが、最近は交通事故に特化する弁護士が増えたと思います。

そうなると、皆さんは、交通事故に特化した事務所の中で、どの弁護士、どの事務所を選べばいいのだろうと悩まれることになると思います。

私自身、病気やけがをした際、いつもどの病院、どの医師を選べばいいのだろう・・・と悩みます。食べログのような口コミサイトがあればよいのですが、病院も、弁護士事務所もそのようなサイトが不思議とありません。

そこで、今回は、弁護士ランキングの信ぴょう性を検討した上、弁護士を選ぶうえでの視点をアドバイスしたいと思います。

 

弁護士ランキングの検討

弁護士ランキングサイトの存在

インターネットで、「弁護士・交通事故・ランキング」と入力すると、弁護士ランキングなるサイトがいくつか出てきます。このような「ランキング」を全面的に信用して、弁護士を選ぶということに合理性はあるのでしょうか。

私自身、交通事故を多く扱っているため、同じ交通事故を取り扱う弁護士目線でランキングサイトを検索して、実際にランキングサイトをいくつか見てみました。

弁護士ランキングサイトの内容の検討

ランキングサイトを見て感じたことは3つです。

  1. ランキングサイト上位に上げられているのが大手事務所であること
  2. ランキングサイト上位事務所は、どのサイトでも共通していること
  3. ランキングサイトの運営主体を特定し難いこと
  4. ランキングの基準が不明確であること

の4つです。

大手事務所がランキングサイトに上がっていること

ランキングサイトを見ていると、比較的大手の事務所がランキングの上位にあがっているように見えます。また、このようなランキングサイトに掲載している事務所は、どのランキングサイトにも共通して掲載されているようにも感じます。

そうすると、比較的資金の潤沢な事務所が、広告料を支払っているため、ランキング上位に上げてもらっていると考えるのが素直でしょう。

ランキングサイトの運営主体、ランキングの基準を特定し難いこと

さらに、ランキング付をしているサイトの運営者を追ってみましたが、運営会社を追い切れないサイトもあります。弊職が、運営会社を追って、ランキングの根拠を聞いてみようと試みましたが、これすら難しい状況です。

また、ランキングの根拠をあげているサイトはほぼありません。食べログのように、値段、接客の良し悪し、味などで評価の根拠をあげているのであれば、分かりますが、このような評価基準は一切掲載されていません。

さらにいえば、ランキングサイトをよく見ていると、ランキング付をしているものの、その事務所の特徴などを詳しく述べているものではなく、弁護士数、取扱時間など事務的なことが記載されているに過ぎないものが多いように思えます。

弁護士ランキングを全面的に信用すべきか

上記の検討からすると、弁護士ランキングは、広告力の差で設定されていることが予想されます。実際に、私も広告業者から営業を受けることがありますが、お金を出せば出すほど、掲載パフォーマンスが上がりますという営業を受けるので、広告力に応じた露出になっているのだと思われます。

そのため、弁護士ランキングのみを鵜呑みにして弁護士を選ぶということは避けた方がよいのではないかというのが私の意見です。

交通事故事件で弁護士を選ぶ際の視点

では、交通事故事件で、弁護士の依頼を考えるにあたり、どのような視点で弁護士を選ぶとよいのでしょうか。私が考えるのは以下の点です。

  1. 交通事故に特化している(多く扱っている)といえるか
  2. 初回電話相談15分で事案の把握をしてくれるか
  3. 事案の見込みをある程度述べられるか
  4. 過失割合を争う手段を提示してくれるか
  5. 後遺障害等級認定請求をしてくれるか。

交通事故に特化しているか

まず、交通事故案件は、知っているか知っていないかで結論に差異が出てしまうことが多いと感じます。私のように頭の良くない弁護士であっても、交通事故に特化していない弁護士よりは、保険会社と争う手段の提供、事案処理の方向性の迅速な提供は出来ると思っています。これは、かつていわゆる「何でも屋」弁護士であった自分と対比してもそう感じます。交通事故案件は、交通事故を多数取り扱う中で、経験により培われる示談金額の相場観、保険会社の対応傾向等が初めて見えてくる部類の案件だと思います。

ですので、私でなくても、交通事故を多く取り扱っている事務所を選ぶべきだと思います。

交通事故を多く取り扱っているかは、事務所のホームページ(ポータルサイトではなく、独自の事務所ホームページをなるべく見た方が良いと思います。)を見ればある程度分かります。

初回電話相談15分での事案の把握

前項の交通事故を多く取り扱っているかという判断をするに際しても有用ですが、まずは、「交通事故案件を多く取り扱っている」「交通事故に強い」と宣伝している法律事務所に電話をしてみることです。

交通事故案件を多く取り扱っている事務所の多くは、電話相談、初回相談が無料です。

その中でも、電話相談を受け付けてくれるところが多数だと思いますし、弊職も交通事故については、無料で電話相談を受け付けております。

ですので、電話相談を躊躇する理由など全くありませんし、いきなり弁護士費用を払えなど言われませんし、言われれば電話を切ればよいだけです。

初回電話相談が無料な理由は、電話相談を受け付けても、多数の交通事故の相談を受けているため、それほど調査をしなくても、電話中に即座に回答できる部分が多いためです。もちろん、調査をしなければ不明な点もありますが、離婚、労働など他の事案と比較すれば、調査必要範囲は、格段に狹いです。

また、電話相談であっても、15分ほどあれば、事案の把握が可能です。これは、多数の事案を扱っていれば、核となる聞くべき情報がある程度分かるからです。

電話相談により15分ほどで事案を把握できる弁護士は、交通事故を多く取り扱っていることが予想されますし、交通事故に明るいと考えてよいのではないでしょうか。

事案の見込みを回答できるか

私は、初回相談の時点で、事案の見込みをある程度は開示しています。

弁護士1年目に先輩弁護士、ボス弁護士にアドバイスを受けるのが、「事案の見込みをあまり言うな」です。このアドバイスは間違っていないと思いますが、依頼者は事案の見込みを知りたいのです。事案の見込みを言えないのは、事案が不明確なことや、相手方の出方が分からないことからくるのだと思います。もっとも、交通事故案件を多数扱っていると、たいていの事件は、ある程度事案の見込みは見えてきます。それは、相手方が保険会社という統率された組織が相手方だからということもありますが、多くの案件を扱っている中で培われた経験によるものが大きいと思います。

交通事故を多く取り扱っており、適正な処理を続けている弁護士か否かは、このある程度の「見込み」を伝えてくれるかという点でも判断できるのではないでしょうか。

争う手段を提供してくれるか

交通事故事件を多数処理する中で、被害者と保険会社が争点となる点は、ある程度共通してきます。簡単に挙げると以下の点だと思います。これらの争点を争う手段を即座に回答してくれるか否かです。判例、法律文献を調査して、回答するのは当然ですが、それ以前の証拠作りをする手段を持っているか否かが重要だと思います。

  1. 過失割合
  2. 車両修理額、車両時価額の妥当性
  3. 後遺障害の該当性
  4. 休業損害額
  5. 慰謝料額

これらのうち、1、2については、リサーチ会社を利用することが一つ考えられます。リサーチ会社を利用するのは、保険会社側だけと考えている人も多いようですが、被害者側としても私は利用しています。

3、4については、提携医師の確保が不可欠です。画像、カルテを見れなければ、顧問医を要する保険会社と戦えない場合も多々あります。

5については、相場観、紛争場所の提供が出来るかだと思います。事案によって、紛争処理センターのような仲裁機関が妥当する場合もあれば、訴訟の方がよい場合もありますし、保険会社との示談で終わらせるべき場合もあります。

このように、争点が明確になっている場合に、その争点に備える証拠作りが出来るか否か、その手段を提供できるかが重要となってきます。

これらの視点は、あくまでも、私が考える視点であって、必ずしも正解とは言い切れません。

もっとも、「弁護士を変えたい」と言って私に依頼をしてくる依頼者の方は、私に依頼した後、「そのようなことを前の先生は言ってくれなかった」と仰ることが多いのも事実です。私自身、交通事故に特化しているというからには、特化した弁護士として備えるべき事項だと思っています。

 

弁護士を探す方法

考えられる方法

弁護士を探す方法には、

  1. 知人から弁護士の紹介を受ける
  2. インターネットで検索する
  3. 弁護士会等に紹介を受ける

この3つがスタンダードではないでしょうか。いずれの手段を用いるにせよ(全て選択してもよいと思います。)、その弁護士に自分の事件を預けてよいか、最大限の処理をしてくれるかという点が重要です。

知人から弁護士の紹介を受ける方法

まず、手っ取り早い方法は、知人から弁護士の紹介を受ける方法です。

この方法は、知人から紹介を受けるという安心感を持てるという点で、とてもよい方法だと思います。事実、私も以前の依頼者から、交通事故に知人があったので話を聞いてあげて欲しいという紹介を受けることがよくあります。その知人が、その弁護士を知っているという安心感は、代えがたいメリットだと思います。

もっとも、紹介を受ける際に気を付けて頂きたい点は、既に述べた通りです。特に重要な点は交通事故を多く取り扱っているかという点だと思います。交通事故は、専門性の高い部類の事件です。手続き、証拠方法、示談の相場観を有しているか否かによって、結果が大きく変わり得る事件の分類と言っていいと思います。ですので、交通事故案件が、扱っている事件全体に占める割合は紹介を受ける際に聞いておいた方が良いと思います。

私が、多数の交通事故を処理している中で、弁護士を変えたいということで、連絡をしてくる方がおられます。そのような依頼者は、たいてい、知人の紹介を受けて安心してお願いをしたが、事件の途中で交通事故はあまりやらないから分からないと突然言われたと私に伝えてきます。

そのような事件の蓋を開けてみると、後遺障害の認定に必要な画像検査をしていない、労災保険・健康保険に切り替えるべき事案であるのに切り替えていない、必要な書類を取り寄せていないなど、穴だらけのことが多いです。これは、優秀かどうかではなく、単に「知っているか、知らないか」という点から生じるだけの問題ですが、依頼者にとっては、致命的となることが多々あります。

インターネットで検索する方法

最近では、インターネットで検索する方法が最もスタンダードとなっていると言っても過言ではないのでしょうか。特に、交通事故のように突発的に発生する事件の場合、事前に弁護士を用意するということが考え難いため、インターネットで検索するという方も多いと思います。決して、安易な方法ではないと思います。知人の紹介を受けるよりも、交通事故事件を実際に多く取り扱っている弁護士に辿りつきやすいのではないかと思います。

もっとも、インターネットで検索する場合、たくさんの弁護士が出てきます。その中から、上記私の視点から弁護士を何人かに絞り、実際に弁護士と話しをして、比較をしてみることが有用だと思います。知人の紹介による安心感はないので、じっくり決めればよいと思います。

弁護士会等の法律相談、あっ旋を利用する。

弁護士会や法テラスでは、無料相談会等により弁護士に相談する機会を提供しています。直接弁護士と話が出来るため、弁護士の雰囲気を知ることもでき、交通事故案件であれば、30分でも十分に事案の内容を伝えることができるはずですから、これらを利用するのもよいでしょう。

もっとも、気を付けて頂きたいのが、これらの相談を受けてくれる弁護士は、持ち回りや抽選で選ばれただけですので、交通事故に特化した弁護士でないことが多いことです。私は、弁護士会が主催する交通事故の法律相談担当者になったことがありません。

また、保険会社から「LAC(日弁連リーガルアクセスセンター)」を通じて弁護士の紹介を受けることもあると思いますが、これについても決して交通事故を多く扱っている弁護士が紹介されるわけではありません。交通事故処理件数が多い弁護士に当たったら、運が良かったと思った方が良いと思います。実際、LACを通じて紹介を受けたが、交通事故について明るくなかったので、弁護士を変えたいと思っているとの相談を私自身受けたことが複数回あります。

 

まとめ

弁護士を選ぶ際に大事な視点は、

  1. 交通事故を多く取り扱っている事務所か
  2. 事件の把握を即座にしてくれるか
  3. 事案の見込みを述べてくれるか
  4. 争う手段の提供をしてくれるか

です。

また、弁護士ランキングや紹介を受けた弁護士を鵜呑みにせず、上記視点からじっくり弁護士を比較して選ぶです。

この記事が、交通事故の被害者の皆様が、適切な弁護士を選択し、適切な賠償を受けられることに少しでも役だって頂ければ幸いです。

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