「バイク運転中の事故」により、脳に損傷を受け、本人に脳の後遺障害の自覚が薄かったが、後遺障害申請をして高額の賠償金が認定された事案
- 保険会社提示額
- 交渉前
- 最終獲得額
- 4,628万円
ご相談内容
被害者 | 20代 男性 個人事業主 |
---|---|
部位 | 腰、胸、頭、脳 |
傷病名 | 頭部外傷,高次脳機能障害, 第1腰椎破裂骨折,第10.11胸椎椎体骨挫傷 |
後遺障害等級 | 併合6級 |
獲得金額 | 4,628万円 |
バイクで直進中、四輪車より側面から衝突され、転倒して大怪我を負ったことから、比較的事故発生から早期にご相談を受けた事案です。
正当な補償を受けたいとのことで、相談者の方自身は、初回相談時においては、特段問題のない少額事案の事故として相談に来られました。
もっとも、弊所としては、ご相談に来られた当初から、脳の障害残存を疑うとともに、腰椎の骨折が重いとの認識から、少なくとも1000万円以上の賠償金事案であると見通しを立てておりました。
サポートの流れ
項目 | サポート前 | サポート後 | 増額幅 |
---|---|---|---|
後遺障害等級 | – | 6級 | – |
入通院慰謝料 | – | 172 | 172 |
休業損害 | – | 162 | 162 |
逸失利益 | – | 3,104 | 3,104 |
後遺障害慰謝料 | – | 1,180 | 1,180 |
入通雑費・入院付添費・その他 | – | 18 | 18 |
交通費 | – | 1 | 1 |
治療費 | – | 505 | 505 |
過失割合控除金額 | – | -514 | -514 |
合計 | 0 | 4,628 | 4,628 |
単位:万円 |
相談当初、被害者本人は、腰の骨折ばかりを気にされており、脳の障害については、自覚症状が弱く、「医師も被害者の高次機能障害に気づいていない」様子でした。
もっとも、「嗅覚が失われて」おり、かつ、ご家族に別途様子をお聞きしたところ、「被害者本人の様子が事故前と異なる」とのことで、後遺障害の残存があるものとして、腰だけでなく、脳についても後遺障害サポートを進めました。
弊所としては、高次脳機能障害の可能性を疑っていたため、まずは、高次脳機能障害につき、対応できる病院に転院するよう被害者にアドバイスをしました。
ただ、「医師は、当初後遺障害申請につき、非協力的、消極的」でしたが、医師に後遺障害の残存を訴え、医師に積極的にアプローチをし、脳についても後遺障害案件であることを認識してもらい、一つずつ後遺障害認定のための医療記録を集めていき、必要な検査も追加で依頼をかけました。
医療記録をそろえた後、被害者請求を行い、無事「併合6級」の後遺障害認定を受けるに至りました。
また、実質労働者の実態がある被害者でしたが、形式的には個人事業主であるため、休業損害の算定が難しく、相手保険会社が休業損害の認定に消極的で、少額の認定しかしない傾向にありましたが、確定申告が実態に合っていないことなどを主張し、休業損害の内払も定期的に獲得しました。
解決内容
後遺障害等級6級を獲得していたため、「自賠責保険から1260万円」を獲得していましたが、相手保険会社からは、この自賠責保険金に毛が生えた程度の賠償金しか提示がありませんでした。
被害者は、個人事業主として確定申告をしているものの、多額の経費を算入しており、被害者は「所得が著しく低い状況」にあったため、相手保険会社から、極めて低い休業損害、逸失利益の金額を提示されましたが、生活実態にあっていないことを立証し、最終的には、「賃金センサスでの計算」を勝ち取りました。
事故後も所得が下がっていないことから、逸失利益の主張自体が困難な部分もありましたが、本人の努力や、発注先会社の理解があって所得が減少していないことを主張し、一定の逸失利益を獲得でき、最終的には、「約4500万円」の賠償金を獲得することができました。なお、死亡事故の賠償金が6000万円前後となることを考えると死亡事故に近い賠償金を得られたことになります。
労働能力の喪失率、基礎収入の点で弁護士は納得がいかない部分があったものの、依頼者の方が早期解決を望んだため、訴訟提起まではせず、示談にて解決するに至りました。
所感(担当弁護士より)
まず、「バイク、自転車事故」の場合、被害者の怪我が「「骨折」を伴うこと」が多いです。骨折の度合いにもよりますが、「骨折した場合、後遺障害が認定されることが多いです。」もっとも、通院先、通院態様、診断書を適切に記載してもらうことを気を付けていれば、という条件が伴います。弊所に相談に来られる方の中には、「重傷を負っていながら、通院先の選択を誤り、書類の内容がおかしい、必要な検査を行っていない等の理由で適正な後遺障害が認定されていない方が、あまりに多い」と感じています。私自身、「もう少し早く相談して欲しかった」と感じることが多々あります。
また、「軽度の高次脳機能障害の場合、被害者本人、医師が高次脳機能障害が残存していることに気づかないことが多々あります。」ご家族が本人に気を使って、本人同席では、被害者本人の異変を告白しないことが多いです。
この場合、本人に席を外してもらい、ご家族に実態をお聞きすると、「「性格が変わった」「怒りやすい」「ぼーっとしている」「作業が手についていない」等の事情」が出てきたりすることが多いです。
後遺障害の残存に気づいていない依頼者を後遺障害申請に導くことも弁護士に必要とされる仕事であると改めて気づかされた事件となりました。
また、「後遺障害の申請を相手保険会社に委ねていたら、脳の後遺障害申請は行われていなかったと思われる」事案です。そのため、相手保険会社に後遺障害申請を委ねるのではなく、被害者請求により、被害者自ら後遺障害申請を行うことが大事であることを改めて気づかされた事案になりました。