異時共同不法行為に該当する2つの事故を依頼者に有利に分断して解決し、賠償金を増加させた事例。
- 保険会社提示額
- 交渉前
- 最終獲得額
- 427万円
ご相談内容
被害者 | 40代 男性 |
---|---|
部位 | 首 |
傷病名 | 外傷性頚部症候群 |
後遺障害等級 | 14級 |
獲得金額 | 427万円 |
依頼者が運転する車両が、一時停止を無視して交差点に進入してきた車両に衝突された事故(第一事故)発生後、2か月ほどで、更に、依頼者が同乗していた車両に後方から追突された事故(第二事故)が発生し、いずれの事故についても、全ての対応をお願いしたいとのことで、ご相談にこられました。
サポートの流れ
項目 | サポート前 | サポート後 | 増額幅 |
---|---|---|---|
後遺障害等級 | – | 14級 | – |
入通院慰謝料 | – | ①25
②87 |
112 |
休業損害 | – | 0 | 0 |
逸失利益 | – | ②160 | 160 |
後遺障害慰謝料 | – | ②110 | 110 |
入通雑費 | – | 0 | 0 |
交通費 | – | ①0.2
②1 |
1.2 |
治療費 | – | ①11
②40 |
51 |
過失相殺 | – | ①-7.2 | -7.2 |
合計 | 0 | 427 | 427 |
単位:万円 |
弊所としては、両方の事故について、後遺障害認定サポート及び示談交渉を行いました。
後遺障害認定サポートについては、一度後遺障害申請を行いましたが、非該当となったため、医療記録を追加で取り寄せて異議申立を行いました。
また、第一事故、第二事故両方の自賠責保険に対して、「異時共同不法行為」であるとして、後遺障害申請を行いました。両方に申請することにより、自賠責保険金が2倍分請求できるためです。
後遺障害14級が認定された後は、第二事故の相手方と最初に示談をしたうえ、最後に第一事故の相手方と示談をしました。
解決内容
1 第二事故について
まずは、第二事故の加害者と示談しました。
示談内容としては、通院慰謝料を除いて後遺障害損害を含め、当方側の請求額が全額認められました。
逸失履歴については、依頼者が役員かつ労働者でしたが、労働者部分の収入を主張立証することにより、主張全額が認められました。
2 第一事故について
第一事故については、第二事故と切り離し、後遺障害以外の損害を主張し、通院慰謝料以外は全額認定されました。
所感(担当弁護士より)
まず、後遺障害認定が1度目は非該当とされてしまいました。自賠責保険の1回目の判断は、非常に適当なことがあるので、短期間に二度も事故により衝撃を受けた被害者に後遺障害が残存しないはずがないと考え、異議申立を積極的に行いました。
むち打ちによる14級9号は異議申立が通らない?とよく聞きますが、本当でしょうか。
時折、依頼者の方が、短い期間の間に、複数回の事故に遭われてしまうことがあります。この時間が極端に短く、双方の事故で受傷部位に重複があると、「異時共同不法行為」との認定を受け、双方の事故がまるで一体の事故として扱われてしまいます。
「一体の事故」として扱われることによって、メリット、デメリットがあるため、いいことなのか、よいことなのかということは一概には言えません。
ただ、一つ言えることは、「異時共同不法行為」の認定により、複数の事故が、「一帯の事故」と扱われると、極めて複雑な事件処理が必要となってしまうということです。特に裁判になると、最悪です。法理論的にまだまだ成熟していないところもあり、非常に面倒な事件解決になってしまうと考えてよいと思います。
今回の事故では、第一事故については、依頼者にも過失が2割存在した半面、第二事故については、過失がないという特徴があり、事故を一体と考え、後遺障害損害について、一部過失2割の減額をされてしまうと、40万円以上も損をしていたことになります。示談により早期に解決したことにより、想定以上の損害金額で示談でき、非常によい解決になったと思います。
今回の依頼者は、私の知人の紹介により、事故直後からご相談を頂いたことにより、適切な治療、適切な通院態様、適切な検査を受けていたことにより、確実に後遺障害の認定を受けたという事例の1つです。
事故から早期にご相談を頂くことが大事であることを再認識して頂ける事例になりました。