事故後高次脳機能障害になり、その後夫が死亡した場合に主婦としての逸失利益が一部認められた事例

後遺障害等級
3級
傷病名
外傷性くも膜下出血、多発骨折、 急性期血圧低下、高次脳機能障害
保険会社提示額
2443万円
最終獲得額
5053万円

ご相談内容

被害者 70代 女性
部位
傷病名 外傷性くも膜下出血、多発骨折、
急性期血圧低下、高次脳機能障害
後遺障害等級 3級
獲得金額 約5,050万円

歩行中、四輪車にはねられた交通事故被害者が、高次脳機能障害の状態となり、そのご家族から治療中、後遺障害申請前に相談を受けました。
相手保険会社は、治療対応はするものの、それ以外は全く放置されている状況が続いていたため、今後どのように手続きを進めてよいのか分からないとのことで弊所にご相談に来られました。

サポートの流れ

項目 サポート前 サポート後 増額幅
後遺障害等級 3級
治療費 80 80 0
入院雑費 15 15 0
通院交通費 1 1 0
入院付添費 0 17 17
通院付添費 0 2 2
症状固定前自宅付添看護費 43 58 15
症状固定前介護費 7 7 0
症状固定後確定介護費 0 555 555
将来介護費 958 1427 469
休業損害 134 166 32
逸失利益 0 868 868
入通院慰謝料 262 262 0
後遺障害慰謝料 1990 1990 0
弁護士費用、遅延損害金等 0 422 422
過失割合 -1047 -817 230
合計 2443 5053 2610
単位:万円

弊所で行った対応は、以下の3つです。
① 後遺障害認定請求のお手伝い(後遺障害認定サポート)
② 示談交渉
③ 訴訟対応

1 後遺障害認定サポート
⑴ 最初に治療資料の一部を確認し、傷病名や治療経緯をお聞きして、高次脳機能障害の残存が容易に想像できました。
そのため、確実に高次脳機能障害の後遺障害認定が受けられるよう動きました。
⑵ 通院先の変更
まず、被害者の通院先の対応を聞いていると、高次脳機能障害について理解がない、リハビリ等も行っていないことが明らかであったため、まずは、高次脳機能障害に明るい病院に転院するよう指示をしました。よく分かっていない病院に通院し続けると明らかに高次脳機能障害が残っている方も、問題がないという診断を受ける恐れがあるからです。
⑶ 後遺障害申請書類の内容確認
また、次に、依頼者家族が作成する「日常生活報告書」の作成サポートを行いました。相手保険会社が作成を求めてくる「日常生活報告書」に、書類の意味も分からないまま適当に記入すると、とんでもない書類が出来上がってしまうことがあるため、この書類作成のサポートも行いました。
その後、不足する後遺障害申請書類、医療記録を揃えて後遺障害申請を行い、無事、後遺障害3級が認定されました。
なお、当該認定サポートを行わなかった場合、恐らく後遺障害はよくて7級程度の認定しか受けられなかったと思われます。

2 示談交渉
認定された後遺障害等級を前提に、相手保険会社に損害を提示しましたが、相手保険会社からは、被害者の夫が事故後死亡していることから、休業損害の一部、逸失利益を認めないという対応をしてきました。

3 訴訟における和解交渉
示談交渉がまとまらなかったため、舞台は訴訟に移りました。
当方側としては、事故後の夫の死亡という偶然の事情を根拠として逸失利益を全額否定する保険会社の主張に納得ができなかったため、訴訟においてこの点を争うこととなり、逸失利益が一部認められた上での和解で事件終了となりました。

解決内容

本件は、逸失利益の半分、休業損害についても夫死亡後については半分が認められたため、依頼者の意向もあり、和解に応じることといたしました。
訴訟となったことにより、2600万円以上も損害額がアップし、依頼者の方も非常に納得して頂いた結果となりました。

所感(担当弁護士より)

本件は、依頼者様には満足してもらえましたが、担当弁護士としては悔しい結果となりました。
なぜならば、逸失利益が半分しか認められなかったからです。
私としては、最高裁判所の考え方からすると、損害は、死亡時点において確定するものであり、事故後の偶然の事情により、損害額が変更されるべきではないと思います。
したがって、控訴をしてでも、逸失利益全額の認定に動きたかったのですが、依頼者の方に疲弊が見られたため、やむを得ず、和解に応じることにしました。
一方で、後遺障害申請については、早めに受任をすることの重要性を再認識することになりました。
高次脳機能障害の認定において、家族が作成する「日常生活報告書」は極めて重要なものとなります。今回、受任直後の依頼者が作成した日常生活報告書の内容が、事前に依頼者から聞いていた内容とまるで違う内容だったことに驚きました。依頼者としては、書類の内容が分からず、適当に作成していたようですが、まるで後遺障害が残っていないかのような書類が作成されてしまい、極めて低い後遺障害が認定されていた可能性があるため、弁護士の早めの介入の必要性を再認識する事案となりました。

その他の解決事例

相談料・着手金0円 完全後払い制 ※弁護士特約の場合は除く/賠償金が増額できなければ報酬は一切いただきません!

0120-122-138
24時間受付 メールでのご相談はこちら